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ご質問の内容はこうでした。「『金銭でなく賞賛だけを対価にして作品を生む無名のクリエイターは、匿名だからこそ大量に生まれた面がある』という論点に興味があるので、もう一歩踏み込んでほしい」。以下お答えです。http://bit.ly/Qy75c
UGCの作り手の多くは既存コンテンツのカバーや模倣から始めます(正確には創作全般がそうですが)。発表の舞台はニコニコ動画やYouTube等。UGCの主要分野の一つはMADですが、著作権的には財産権も人格権も思い切り侵害しています。匿名でないと発表自体がそもそも困難といえます。
MADではありませんが、例えばアイドルマスター(「ニコマス」と呼ばれる方です)は既存ゲームのプレー画面(動画)を切り出し、別の楽曲(これも大半は既存曲)と合成するという膨大な作業を経て生み出されます。その作成経過から明らかなように、著作権的課題が多々あります。何とも残念なことに。
個人的に圧倒された「ニコマス」の例です(登録が必要です)。とんでもない出来です。この歌は日本人作品ですが、JASRACとニコニコ動画の契約で許諾されるのは詞とメロディの使用で、レコード音源そのものではない点に未だ問題が残ります。http://bit.ly/aFHel
初音ミク(ボーカロイド)もごく初期の段階は既存曲のカバーから始まりました。当時ニコニコ動画はJASRAC等と契約しておらず、これも違法行為でした。やはり匿名でないと支障があったわけです。とはいえ初音ミクの場合、今から考えるとびっくりするくらい早くオリジナル曲が登場していますが。
権利者の中には、角川HDのように、権利を持つアニメのMADを公認している団体もあります(正確にはMADを逐一チェックし、原作者等のOKも取った上で公認)が、こういう姿勢の権利者はごくわずかで、大半のMAD/二次創作は、「違法だけど権利者がお目こぼししてくれているだけ」の状態です。
こうした「違法状態」では、作り手が金銭的対価を求めるのは非常に危険です。非営利だからお目こぼしされるのであって、金銭的見返りを求めたら、間違いなく摘発の対象になるでしょう。にもかかわらず、彼らがこうした作品を作るのは、つまり金銭ではなく、賞賛こそが対価だからです。
初音ミクは早くにオリジナル曲中心に移りました。とはいえ、「パクリ」が自在に交じる奔放さは他のUGCと五十歩百歩で、やはり匿名でなければあの規模の参加者を維持することは難しかったでしょう。勤め人で会社にばれたらまずいとか、周囲に内緒でやっているといった人も相当いるようです。
数は重要です。参加者が増えることで、単なる盛り上がりを超えた、一種の質的変化が起こります。初音ミクでは音楽から絵、動画やプログラム作成等の技能を持つ作り手が続々と参加し、連鎖反応のような創作が発生しました。作品は多様化して質も急上昇し、それがさらに人を呼び寄せる循環を生みました。
そうした作り手たちの一種クラウド的集まりの中で、過去に会ったことのない人々が次々とコラボレートしていく様は壮観です。次の動画には5人が関わっていますが、この現象がなければ出会っていなかった人たちかもしれません(コメントオフ・全画面表示推奨)。http://bit.ly/RWsBW
「量的変化が質的変化を引き起こす」現象が起きるためにも敷居は低い方がいい。必然的に匿名容認になります(無論、少数ですが実名の参加者もいます)。私は日本のウェブで集合知を実現した最上の例の一つが初音ミク現象だと思っているので、梅田さんが全然関心なさそうだったのは残念でした。
匿名が必要な理由はもう一つあります。それは脅迫・粘着対策で、こちらの方がより深刻かつ切実です。人気のある作者の中には、一種のネットストーカーに悩まされている/悩まされた人が複数います(脅迫・粘着が理由で発表をやめた人もいます)。匿名が容認されることは自己防衛上必須といえます。
日本のウェブの重要な課題は、この「出る杭を打つ」現象だと考えています。日本的土壌そのものですが、それが日本のUGCの未来を殺すかもしれません。ウェブは才能ある人が世に出る強力なツールですが、それを潰す輩も同様に浮上させてしまう。その点でウェブは、むごいほどにフラットです。(終) Tristan_Tristan (Tristan_Tristan) on Twitter (via tsuda)
UGCの作り手の多くは既存コンテンツのカバーや模倣から始めます(正確には創作全般がそうですが)。発表の舞台はニコニコ動画やYouTube等。UGCの主要分野の一つはMADですが、著作権的には財産権も人格権も思い切り侵害しています。匿名でないと発表自体がそもそも困難といえます。
MADではありませんが、例えばアイドルマスター(「ニコマス」と呼ばれる方です)は既存ゲームのプレー画面(動画)を切り出し、別の楽曲(これも大半は既存曲)と合成するという膨大な作業を経て生み出されます。その作成経過から明らかなように、著作権的課題が多々あります。何とも残念なことに。
個人的に圧倒された「ニコマス」の例です(登録が必要です)。とんでもない出来です。この歌は日本人作品ですが、JASRACとニコニコ動画の契約で許諾されるのは詞とメロディの使用で、レコード音源そのものではない点に未だ問題が残ります。http://bit.ly/aFHel
初音ミク(ボーカロイド)もごく初期の段階は既存曲のカバーから始まりました。当時ニコニコ動画はJASRAC等と契約しておらず、これも違法行為でした。やはり匿名でないと支障があったわけです。とはいえ初音ミクの場合、今から考えるとびっくりするくらい早くオリジナル曲が登場していますが。
権利者の中には、角川HDのように、権利を持つアニメのMADを公認している団体もあります(正確にはMADを逐一チェックし、原作者等のOKも取った上で公認)が、こういう姿勢の権利者はごくわずかで、大半のMAD/二次創作は、「違法だけど権利者がお目こぼししてくれているだけ」の状態です。
こうした「違法状態」では、作り手が金銭的対価を求めるのは非常に危険です。非営利だからお目こぼしされるのであって、金銭的見返りを求めたら、間違いなく摘発の対象になるでしょう。にもかかわらず、彼らがこうした作品を作るのは、つまり金銭ではなく、賞賛こそが対価だからです。
初音ミクは早くにオリジナル曲中心に移りました。とはいえ、「パクリ」が自在に交じる奔放さは他のUGCと五十歩百歩で、やはり匿名でなければあの規模の参加者を維持することは難しかったでしょう。勤め人で会社にばれたらまずいとか、周囲に内緒でやっているといった人も相当いるようです。
数は重要です。参加者が増えることで、単なる盛り上がりを超えた、一種の質的変化が起こります。初音ミクでは音楽から絵、動画やプログラム作成等の技能を持つ作り手が続々と参加し、連鎖反応のような創作が発生しました。作品は多様化して質も急上昇し、それがさらに人を呼び寄せる循環を生みました。
そうした作り手たちの一種クラウド的集まりの中で、過去に会ったことのない人々が次々とコラボレートしていく様は壮観です。次の動画には5人が関わっていますが、この現象がなければ出会っていなかった人たちかもしれません(コメントオフ・全画面表示推奨)。http://bit.ly/RWsBW
「量的変化が質的変化を引き起こす」現象が起きるためにも敷居は低い方がいい。必然的に匿名容認になります(無論、少数ですが実名の参加者もいます)。私は日本のウェブで集合知を実現した最上の例の一つが初音ミク現象だと思っているので、梅田さんが全然関心なさそうだったのは残念でした。
匿名が必要な理由はもう一つあります。それは脅迫・粘着対策で、こちらの方がより深刻かつ切実です。人気のある作者の中には、一種のネットストーカーに悩まされている/悩まされた人が複数います(脅迫・粘着が理由で発表をやめた人もいます)。匿名が容認されることは自己防衛上必須といえます。
日本のウェブの重要な課題は、この「出る杭を打つ」現象だと考えています。日本的土壌そのものですが、それが日本のUGCの未来を殺すかもしれません。ウェブは才能ある人が世に出る強力なツールですが、それを潰す輩も同様に浮上させてしまう。その点でウェブは、むごいほどにフラットです。(終) Tristan_Tristan (Tristan_Tristan) on Twitter (via tsuda)